【コラム】若手が定着する会社・辞めていく会社の違い ─ 「給料」だけじゃない、じつは「見えない部分」が分かれ道 ─(2026.5.18)
「うちは給料もそれほど悪くないのに、なぜ若手がすぐ辞めるんだろう…」
そう悩む経営者・人事担当者の声を、私はよく耳にします。 じつは今、離職の原因は「報酬」よりも「職場体験」にあるケースが増えています。
厚生労働省のデータによると、大学卒新規就職者の3年以内離職率は33.8%(令和4年3月卒業者)。 さらに注目したいのは規模別のデータです👇
📊 事業所規模別・大卒3年以内離職率
| 事業所規模 | 離職率 |
|---|---|
| 5人未満 | 57.5% |
| 5〜29人 | 52.0% |
| 30〜99人 | 41.9% |
| 100〜499人 | 33.9% |
| 1,000人以上 | 27.0% |
(出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」)
中小企業ほど離職率が高い。これは「給与格差」だけでは説明できません。 組織の"見えない体験"の差が、じわじわと効いているのです。
🔍 違い① ── 「期待」をちゃんと言葉にしているか
定着する会社に共通しているのは、「あなたにこうなってほしい」を、具体的に伝えていること。
辞めていく会社では、こんなことが起きがちです。
「背中を見て覚えろ」 「とりあえず現場に出てみて」
若手にとって、何を期待されているかわからない環境は、じつはけっこうしんどい。 「自分はここにいていいのか?」という不安が積み重なり、やがて離職へとつながります。
✅ 定着する会社がやっていること
- 入社後早い段階で「3ヶ月後・半年後にこうなってほしい」を言葉で伝える
- 期待像を上司の頭の中に留めず、紙やシートに書いて共有する
- 「あなたに期待している」というメッセージを、折に触れて伝える
「期待を言語化する」──これだけで、若手の安心感はぐっと変わります。
🔄 違い② ── フィードバックは「量」より「鮮度」
フィードバックといえば、年に1〜2回の評価面談を思い浮かべる方も多いかもしれません。 でも、若手が求めているのは**「今日の仕事、どうだったか」**という日常の声がけです。
評価がないのは「よかった」のか「悪かった」のか…どっちかわからない。
これが若手の本音です。
半年後に「あのときのあれ、よくなかったよ」と言われても、もう遅い。 フィードバックは新鮮なうちが一番効く。
✅ 定着する会社がやっていること
- 週次の短い1on1(15〜30分でOK)
- 良い行動をその日のうちに一言ほめる
- 改善点も「責める」ではなく「一緒に考える」トーンで伝える
制度として大げさに構えなくても大丈夫。日々の「ひと声」の積み重ねが、若手の定着を支えています。
📈 違い③ ── 「成長している実感」が持てるか
「この会社にいると成長できる」という感覚は、若手にとって強力な定着の理由になります。 逆に「毎日同じことをしているだけ」と感じたとき、転職サイトを開く手が動き始めます。
成長の見える化とは、難しいことではありません。
✅ 定着する会社がやっていること
入社時にできなかったこと → 今できるようになったこと
このシンプルな「前後比較」を、上司が意識的に言葉にしてあげるだけで十分です。
「最初は電話対応も緊張してたのに、今は頼りになるね」
この一言が、若手の「ここにいていい理由」になる。 自己評価シートやスキルマップなどの制度があればなお良いですが、まずは上司の言葉から始められます。
🤝 まとめ ── 制度とコミュニケーション、両方の「歯車」を回す
若手定着のカギをまとめると、こうなります。
| 辞めていく会社 | 定着する会社 | |
|---|---|---|
| 期待の伝え方 | 言わなくてもわかるはず | 言葉と文字で明示する |
| フィードバック | 年1〜2回の評価面談のみ | 日常の小さな声がけ |
| 成長の見える化 | 本人任せ | 上司が意識的に言語化 |
制度を整えることは大切です。でも制度だけでは「器」があっても「中身」が伴わない。 大事なのは、「この会社は自分のことをちゃんと見てくれている」と若手が感じられるかどうかです。
それは特別なお金も、大がかりな制度改革も必ずしも必要ではありません。 上司の一言、週一回の対話、期待を書いた一枚の紙。そこから始められます。
若手の定着は、「採用力」の前に**「定着力」**を磨くことで変わります。 ぜひ、明日からの一歩に活かしてみてください。
💬 「うちの職場、大丈夫かな?」と気になった方は、お気軽にご相談ください。 就業規則の見直しから人事制度の設計まで、一緒に考えます。
