【就業規則】新年度前に見直したい就業規則チェックポイント5つ ─ 「改定」より先に、まず「整理」から始めよう―(2026.3.19)
4月が近づくと、採用・昇給・組織変更と、人事まわりの動きが一気に慌ただしくなります。そんな時期だからこそ、ちょっと立ち止まって確認しておきたいのが就業規則です。
「うちの就業規則、何年前に作ったっけ?」――そう思い当たる方は、要注意かもしれません。就業規則は作って終わりではなく、会社の実態や法律の変化に合わせて育てていくものです。新年度という節目に、現場とのズレが表面化する前に、5つのポイントを確認してみましょう。
📋 今回のチェックポイント一覧
# テーマ リスクレベル ① 雇用形態・契約内容は現状と合っているか ⚠️⚠️⚠️ ② 賃金・手当の定義があいまいになっていないか ⚠️⚠️⚠️ ③ 労働時間・休暇の扱いがあいまいになっていないか ⚠️⚠️ ④ ハラスメント・懲戒規程は古くないか ⚠️⚠️⚠️ ⑤ 運用と規程が乖離していないか ⚠️⚠️⚠️
✅ チェック① 雇用形態・契約内容は現状と合っているか
パートタイマーや契約社員、業務委託など、働き方の多様化が進む中で、就業規則の適用範囲が実態と合っていないケースは少なくありません。
たとえば、「正社員用の就業規則しかない」「パート・有期社員向けの別規程がない」という状態では、同一労働同一賃金への対応が不十分になるリスクがあります。雇用形態ごとに適切な規程が整備されているか、まず確認しましょう。
また、試用期間の長さや更新手続きの記載が、実際の運用と食い違っていないかも要チェックです。
🔍 ここを確認!
- 雇用形態ごとの就業規則・別規程は整備されているか
- 試用期間・更新手続きの記載は実態と一致しているか
- 業務委託との区分けが曖昧になっていないか
✅ チェック② 賃金・手当の定義があいまいになっていないか
「皆勤手当」「役職手当」「住宅手当」――これらの支給条件や計算方法が、就業規則や賃金規程に明確に書かれていますか?
曖昧な記載は、割増賃金の計算トラブルや、退職時の賃金未払い請求につながるリスクを抱えています。
💡 特に要注意:固定残業代(みなし残業)を設けている場合
確認項目 OK例 NG例 金額・時間数の明示 「月30時間分・〇〇円」と明記 「残業代込み」とだけ記載 超過分の取り扱い 超過時は別途支給と明記 超過時の扱いが不明 賃金規程への記載 規程に明文化されている 雇用契約書にのみ記載
「なんとなく運用している」手当があれば、このタイミングで言語化しておくことをお勧めします。
✅ チェック③ 労働時間・休暇の扱いがあいまいになっていないか
所定労働時間、休憩時間、振替休日と代休の違い、有給休暇の取得手続き――こうした項目は、会社側も従業員側も「なんとなく」運用しているケースが意外と多いです。
⏰ 見落としがちな3点セット
項目 よくある落とし穴 有給休暇の時季指定(年5日) 規程への反映が不十分なまま 振替休日 ↔ 代休の区別 混同して運用しているケースが多い テレワーク時の労働時間管理 導入後に規程を更新していない
「うちはちゃんとやっている」と思っていても、規程の文言が実態を追いかけていないことは珍しくありません。
✅ チェック④ ハラスメント・懲戒規程は古くないか
ハラスメントに関する法整備はここ数年で大きく進みました。パワハラ防止法(2022年4月に中小企業も義務化)への対応はできていますか?
📌 就業規則に明記されていますか?
ハラスメントの種類 規程への明記 セクシャルハラスメント 多くの会社で記載あり ✅ パワーハラスメント 記載漏れが多い ⚠️ マタニティハラスメント 記載漏れが多い ⚠️ ケアハラスメント ほとんど記載なし 🔴
懲戒規程は「何をしたらどうなるか」が明確であることが、抑止力にも紛争予防にもなります。 懲戒の種類と手続きがフェアかつ明確に整備されているか、この機会にしっかり確認しておきましょう。
✅ チェック⑤ 運用と規程が乖離していないか
「規程にはそう書いてあるけど、実際はこうやっている」――これが最も多く、そして最もリスクの高い状態です。
⚡ よくある「乖離あるある」
規程の記載 実際の運用 遅刻・早退は都度届出 口頭確認だけで書類なし 休日出勤は事前申請 事後報告が慣行に 有給は〇日前に申請 当日連絡でも承認している 試用期間は〇ヶ月 実態と異なる運用をしている
乖離が積み重なると、いざトラブルが起きたときに規程を根拠にできなくなります。見直しのポイントは**「規程を現実に合わせる」か「運用を規程に戻す」か、どちらかに統一すること**。「なんとなく続いている慣行」を放置しないことが大切です。
📝 まとめ 見直しは「改定」より「整理」から
就業規則の見直しと聞くと、「大がかりな改定が必要では」と身構えてしまう方も多いかもしれません。でも、まずやることは現状の把握と整理です。
今の規程が何年前のものか、実態とのズレはどこにあるか――それを確認するだけでも大きな前進です。
📣 あわせて確認を!育児・介護休業法の改正(2025年4月施行)
5つのチェックポイントとは別に、法改正への対応も忘れてはなりません。
- 👶 子の看護休暇の対象拡大・取得事由の見直し
- 🏠 介護離職防止のための新たな措置義務
- 📄 就業規則・規程への反映が必要な変更が含まれています
「対応済みかどうか」だけでも、この機会に確認しておくことをお勧めします。
新年度を、「なんとなく」ではなく**「ちゃんと整っている」状態で迎えるために**。就業規則の点検を、ぜひ今月中に。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください😊
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